・自分とそっくりの姿をした分身。
・同じ人物が同時に複数の場所に姿を現す現象。
・自分がもうひとりの自分を見る現象。自己像幻視。
「自分のドッペルゲンガーを見ると、しばらくして死ぬ」などと語られることもあり、恐れられていたものであり、現在でも恐れられることがある現象である。
江戸時代の日本では、影の病い、影のわずらいと言われ、離魂病とされた。『日本古文献の精神病学的考察』(栗原清一)に一例が記述されている。その内容は次のようなものである。
北勇治という人が外から帰って来て、居間の戸を開くと、机に向かっている人がいる。自分の留守の間に誰だろう? と見ると、髪の結いよう、衣類、帯に至るまで、自分が常に着ているものと同じである。自分の後姿を見た事はないが、寸分違いないと思われたので、顔を見ようと歩いていくと、その人物は向こうを向いたまま障子の細く開いた所から縁先に出てしまい、後を追ったが、もう姿は見えなかった。家族にその話をすると、母親はものもいわず、顔をひそめていたが、それから勇治は病気となり、その年の内に死んでしまった。実は勇治の祖父・父もともに、この影の病により亡くなっており、あまりに忌しき事ゆえに、母や家来はその事を言えずにいた。結果として、3代ともこの影の病にて病没してしまった。
ドッペルゲンガー現象。
できれば体験したくはない現象である。
以上、増井千晶でした。